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2007年11月13日 (火)

加茂岩倉遺跡出土銅鐸の金属成分

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唐古・鍵遺跡の銅鐸片の金属成分が加茂岩倉出土銅鐸と似ている件-島根県教委に問い合わせしてみたところ、下記のようなことがわかった。

日本文化財科学会の第24回大会が、2007年6月2~3日、奈良教育大学で開催され、その時、加茂岩倉遺跡出土銅鐸の主成分が発表されている。

肥塚隆保、高妻洋成、降幡順子(奈良文化財研究所)、山崎修(雲南市教育委員会)、松本岩雄(島根県立古代出雲歴史博物館)「重要文化財島根県加茂岩倉遺跡出土銅鐸の保存修理一保存科学調査から-」『日本文化財科学会第24回大会研究発表要旨集』(2007年)

加茂岩倉遺跡出土銅鐸の保存処理は1999年から8年かけて奈文研で行われ、昨年度終了し、現在は島根県立古代出雲歴史博物館で公開展示されている。保存処理の過程で成分分析も行われ、上記の要旨集に39個の銅鐸の主成分(銅Cu, 錫Sn, 鉛Pb)が一覧表で掲載されている。

>銅鐸39個の平均値と標準偏差は、銅:77.7±5.4%, 錫:11.4±4.9%, 鉛:7.4±1.2%で、錫のバラツキは大きいが、鉛のバラツキは少ない傾向が認められる。(中略)これらの材料的な異なりは、比較的銅鐸の形式が関与しているような結果を得た。

問題のII-2式(外縁付鈕2式)について平均値・標準偏差を出してみたが、
銅:84.96±3.81%, 錫:4.21±1.61%, 鉛:6.99±1.56%
一見して、唐古・鍵遺跡の銅鐸片(Cu92%,Sn2.83%,Pb3.35%)とはかなり違う… どうしてこれが「よく似た割合」という話になったのか? II-2式 9個の内、錫1.79%が1個、7.62%というのが1個あるが、他の7個は3.15, 3.21, 3.75, 4.25, 4.36, 4.84, 4.97%

ちなみに、各々形式別に平均値・標準偏差を算出すると、
II-1式 銅:75.65±2.72%, 錫:13.40±0.92%, 鉛:7.79±0.67%
III-1式(II-2式の可能性あり) 銅:84.01±2.72%, 錫:4.36±3.06%, 鉛:7.98±1.25%
III-2式 銅:73.74±2.62%, 錫:15.72±2.65%, 鉛:7.35±1.69%

確かに形式と成分比に相関はありそうだが、II-2式やIII-1式が、唐古・鍵と似ているのは錫の%が他の形式より低いことぐらい。鉛は7%あるし、錫だって4%以上ある。どうしてこの数値で「唐古・鍵遺跡出土の銅鐸片の成分が、加茂岩倉遺跡出土の銅鐸によく似ていることがわかった」となるんだろう?

>石野博信・兵庫県立考古博物館長(考古学)
>「大和と出雲の連携を示す可能性がある。銅鐸は祭祀用具とされるので、同じ神様をまつるなど、宗教的な共通性があったのだろうか」(朝日新聞/2007/10/18)

>島根県立古代出雲歴史博物館・松本岩雄(学芸部長)
>「銅鐸の一部は大和で作られ、出雲にもたらされたかもしれない。さらに科学分析を進めることで、新たな視点が出てくることを期待したい」(読売新聞/2007/10/19)

と唐古・鍵遺跡銅鐸片のニュースにコメントされているが、唐古・鍵の銅鐸片と加茂岩倉の金属成分は全然似ていない。罪のない古代史ファンが混乱するだけなので、こういう談話はやめて欲しい。

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