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2013年8月 8日 (木)

滋賀県高島市・上御殿遺跡 双環柄頭短剣の鋳型出土

Photo_11中国伝来か、短剣の鋳型出土=流通ルート解明に道-滋賀
jijicom 時事ドットコム 2013/8/8

滋賀県文化財保護協会は8日、同県高島市の上御殿遺跡で、剣を握る柄(つか)に二つの輪が付いた「双環柄頭短剣(そうかんつかがしらたんけん)」の鋳型が国内で初めて出土したと発表した。弥生時代中期から古墳時代前期のものとみられる。これまで国内で発見された銅剣と異なり、中国から伝わった可能性があり、銅剣の流通ルートを解明する上で貴重な発見という。
同協会によると、鋳型は上下2枚1組で、いずれも長さ約29.5センチ、幅約8.8センチ。近畿地方の銅鐸(どうたく)に多く使われる石材でできており、同地方で造られたとみられる。上下で合わせる目印とみられる十字線が引かれ、いずれも裏面が削られ薄くなっていた。2枚の鋳型が同時に出土するのは極めて珍しく、彫り込まれた柄の長さが異なることなどから、未完成か失敗作だった可能性もあるという。

写真中央の短剣は複製した鋳型で作ったもの


Photo_12騎馬民族の銅剣鋳型 日本初出土 滋賀・上御殿遺跡 大陸から直接伝来か
SANKEI EXPRESS 2013/8/9

中国の華北や内モンゴルに分布したオルドス式銅剣の特徴を持つ双環柄頭短剣の鋳型が国内で初めて滋賀県高島市の上御殿遺跡で出土し、県文化財保護協会が8月8日発表した。弥生中期-古墳時代前期(紀元前350~紀元後300年ごろ)のものとみられる。

九州などで出土している細形銅剣は、中国の遼寧式銅剣がモデルで、朝鮮半島を通じて伝わった。オルドス式は朝鮮半島にも出土例はなく、中国から日本海ルートで伝わった可能性があり、青銅器流入の見直しを迫る発見となりそうだ。

Photo_13■オルドス式の特徴

鋳型に彫られた短剣は柄頭にある双環など中国の春秋戦国時代(紀元前770~紀元前221年)のオルドス式と似た特徴がある。協会によると、上御殿遺跡は日本海まで約30キロと近いことから、九州を経由せず、日本海を通じて大陸と交流した可能性があるという。
鋳型は2枚一組の板石で、長さ29.5センチ。石材は泥が固まったシルト岩で産地は不明。鋳型の彫り込みが浅く、仮に製作しても刃の厚さが3ミリと薄く、実用品とは考えにくいという。鋳型は未使用のため、試作品か失敗品とみられる。鋳型は合わせた状態で見つかった。

出土した地層は縄文-古墳時代と年代幅があり、遺物がほとんど出土しないため、年代がよく分からなかった。弥生の青銅器にある複合鋸歯文が鋳型にもあったことや、国内での青銅器生産時期を参考に鋳型年代を推定した。

遼寧式銅剣は、中国・遼寧省付近で紀元前9世紀~紀元前3世紀に作られ、剣身、柄、柄頭を別々に作るが、オルドス式は一体で鋳造するのが特徴。佐賀県唐津市柏崎では遼寧式とオルドス式の影響を受けた触角式銅剣が出土している。

■弥生人、独自交流も

柄頭を飾る2つのリング、まっすぐ伸びた剣身…。出土した鋳型には、はるか西方の遊牧騎馬民族が持つ短剣が彫られていた。「朝鮮半島にも九州にもない短剣が、なぜ近江に」「何に使ったのか」。多くの謎に研究者が頭を抱えている。
吉田広愛媛大准教授(考古学)は「思ってもみない発見で驚いた。鋳型が大陸への窓口だった九州や近畿を飛び越え、近江で出土したことが重要。丹後や北陸、長野県でも大陸製とみられる鉄剣や鉄刀が発掘されており、各地の弥生人が大陸と独自に交流していた可能性も出てきた」と話す。

宮本一夫九州大教授(考古学)は「製品化には失敗しただろう。オルドス式は逆手に持って振り下ろし、相手にとどめを刺す武器。ところが鋳型の剣には、つばがない。武器の体をなしておらず、使い方を理解していなかったとしか思えない」と言う。難波洋三奈良文化財研究所埋蔵文化財センター長は「この鋳型で剣を作ると、刃の厚さは約3ミリでぺらぺら。実用品でなく祭祀(さいし)用かも」と推測した。

■オルドス式と遼寧式銅剣
オルドス式銅剣は、中国の華北や内モンゴル自治区などに分布する。内モンゴルのオルドス地方で発見されたことから名付けられた。柄は動物や双環などのモチーフで飾られ、春秋戦国時代(紀元前8~紀元前3世紀)に最盛期を迎える。遼寧式は中国・遼寧省を中心に、紀元前9~紀元前3世紀に作られた。九州などで出土する細形銅剣のモデルとなった。

現説資料/公益財団法人滋賀県文化財保護協会


このニュースも月刊文化財発掘出土情報か何かで知って、その後、秋に滋賀県愛荘町の資料館を訪れた際に、県の埋文センターのパンフを見て思い出した。

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