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2014年6月19日 (木)

山梨県立考古博物館 平成26年度 第2回原始古代の技に学ぶ「青銅器作り体験~ミニ銅鐸~」

Photo先日(といっても5月初め頃になるが)最近銅鐸のニュースがないな~と検索していると、山梨県立考古博物館で、青銅器作り体験-それも銅鐸作りがあるという。

銅鐸作りというと…これまで古代出雲歴博吉野ヶ里遺跡と体験したことはあったが、いずれも低融点合金(ピューター)を使ったもの、今度もそうかと思いきや~案内チラシを読むと、どうも本当の青銅で鋳込むらしい。一度青銅で鋳造するところを見てみたかったので、すぐに電話を入れると24日は定員に達したが、17日はまだ1名空きがあるというので、即申込み!!

17日は朝9:00から開始だったので、前泊することに。幸い博物館隣に亀の井ホテル(名前が変わってホテルAZになっていた)があった。ここの博物館は前に二度程見学したことがあったが、JR甲府駅から遠くバス便も少ない、最寄りの駅もなく、反対に中央高速からは近い。東京方面からなら新宿発甲府行きの高速バスに乗って、中道で下車がオススメ(ただし中道に停車するのは南回りという便だけなのでご注意を)

Sさて工程の概略は当日配られた資料に載っている通りだが、1~2の鋳型作りの部分が作業の大半を占める。鋳型作成は踏み返し法という方法で、博物館ではこの方法で銅鏡などの製作体験教室をこれまで数年前から開催してきた実績があるようだ





Photo_9銅鐸は昨年一度体験教室を開催しており今回が二回目。鏡と違ってどんな原型を使うのかと思っていたら、A・B面で半裁された銅鐸が登場(鏡だといわゆる“踏み返し”と呼ぶ、製品からコピーを作る手法、この原型は湯道とする裾部分が長く作ってある)~原型は1セットしかないため、鋳型作りは1名ずつしかできない…通りで定員が5名のはずで、これでも全員の鋳型が完成するのに昼過ぎまでかかった。


鋳型作りの工程をざっと説明すると、

Photo_8①木枠の中に半裁された原型をセットする。

②離型剤(石膏?のような白い粉末)を原型にタンポのようなもので付着させる(この時型持ち孔の部分によく付けておくのがポイント!)

Photo_10③まず鋳型砂(粒径の細かい/8号?とか言っていた)をさらにふるいを掛けながら原型にふりかけていく。原型の形を細かいところまで再現するため、最初は粒径の細かい砂を使用する。今回使用する鋳型砂は珪砂と水ガラスでできておりCO2に反応して硬化する優れもの。

Photo_11④鋳型砂で原型がほぼ覆われると、今度は手で叩いて固める…この時、鈕や舞、鰭など薄い部分をよく叩いておくのがポイント~理由はこういう部分は上からの力が入り難く原型の細かいディテールに鋳型砂が入らず、エッジが模糊(ぼんやり)とした状態になりがち。

1⑤この上に粒径の大きい鋳型砂をかけて杵形や板状の木片を使って押し固めていく。鋳型の外側に粒径の大きい鋳型砂を用いるのは鋳造時のガス抜きのため。



2_3⑥鋳型砂を少し入れては叩き固め、また少し入れを繰り返す。木枠がずれない程度であればかなり大胆に力を入れて叩いても大丈夫。



3_2⑦最後は板の上から金槌で叩き、





Photo_2余分な鋳型砂は除去する。





Photo⑧CO2ガスを送り込んで鋳型砂を固める(ほっておいても硬化するが時間短縮するためCO2ガスで急速に固める)。最初は中心から四隅、その中間と固めていく。

⑨板を被せてひっくり返す(=フライパンで卵焼きをひっくり返す要領)

Photo_12⑩4箇所尖った金属製の丸棒で孔を開ける(=最後に鋳型をセットする時にきちんと噛み合うようにするため、ここで片側の鋳型に円錐形の孔ができると、この後作成する片側の鋳型砂が入って円錐形のポッチができる仕組み)


Photo_13⑪もう片方の原型をセットする(この時ズレないように両面テープを使用)




Photo_14⑫ ③~⑧と同様に鋳型砂を木枠内に入れて叩き固めていく。





Photo_15⑬上下の型を分離して、木枠を外す(木枠はネジで固定されている)




Photo_16⑭銅鐸の裾部を削って湯口部分を作る。削り過ぎないように注意(削り過ぎると中子がガタついてしまう)

⑮型持ちが原型に持って行かれることが多いので、その際は原型から上手に外すか、型持ちを別に作成して鋳型の所定箇所に貼り付ける。

Photo_17⑯中子は別に中子専用の木型があって既に作られていた。これの舞部分に型持ち2個を貼り付ける(ボンドで)



2_4⑰中子がセットされた状態





Photo_20⑱鋳型を合わせて金属板で夾んで固定する。ここで中子のガタつきがないか要確認



Photo_21⑲耐火煉瓦製の炉と送風鞴、手前はコークスか木炭?






Photo_19⑳鋳込み作業は危険なので参加者にはやらせてくれなかった。両側から二人が坩堝で溶けた青銅を流し込み、三人目(中央)が長い金属板で中子を押さえる(=しっかり押さえていないと中子が浮いてきてしまう)ハバキを使わないのでどうするのかと思っていたが、こういう方法もあるのかと感心!

(21)青銅は銅、錫、鉛の合金だが、今回は鉛フリーにするため、代わりにリン青銅という丸薬大のものを坩堝中に数個添加していた。リン青銅は鉛と同様、湯流れをよくする機能を持つ。写真は撮れなかったが、銅線などを切って坩堝に入れていた。

Photo_7(22)鋳込み後、十分に冷えてから鋳型の右側から金槌で軽く叩くと、鋳型が割れてポロンと銅鐸が転がり出てきた。鋳型砂が銅鐸の表面にびっしりと付着しているため文様は全く見えない。





Photo_6鋳型砂の廃棄場所…うず高く積まれており、中には銅鐸の文様が残る廃棄鋳型もある。この廃棄鋳型は業者が回収して再生するらしい。遺跡からこういう廃棄鋳型の山が見つかれば製作地や工房の問題が一気に解決するのだが…真土(まね)という本式の砂型の場合も鋳型砂は何度も再利用するということなので、銅鏡も含めて廃棄鋳型が遺跡から見つからないのも肯ける。


Photo_5(23)これをバケツの水に突っ込んで冷やし、ドリルで中子を取り除く。



Photo_4(24)表面の鋳型砂が取れて裾部分を切断した状態。ここから銅鐸表面に付着した鋳型砂や中子を根気よく除去していく(この作業がタイヘン…作業に集中していて写真なし)





Photo_3(25)最終段階でグラインダーやベルト研磨機を使って裾部分を綺麗にしてもらう。



(26)完成…銅鐸の高さは17cm、重さは0.8kg。厚みは約2~3mm、薄いところでは1mmの部分もある。写真では白っぽく見えるが実際はほんのりと金色がかっている。材料の配合比は銅85%、鈴10%、その他5%という説明だった。銅鏡だと鈴が20%近くあるため色はもっと白くなるらしい。


4木製の舌を紐で取り付けて鳴らしてみたが、各々微妙に違う音がした。銅鐸の厚みや型持ち孔の状態などで音が変化するのかもしれない。今回の銅鐸は摂津系の銅鐸としてこのブログでも度々紹介してきた東奈良遺跡で作られた銅鐸がモデルになっているらしい。

Photo_2秋の特別展「掘り起こされた音の形~まつりと音具の世界~」に向けて、鈴鏡なども製作するらしいので、できれば次回も参加したい。鈴ってどういう風に作るんだろう?!今回の鋳型作りでなんとなく想像はできるようになったが…中子(鈴の中土)の除去が銅鐸以上にタイヘンそうだ。。。

次回は三環鈴作り…7/13は既に定員、26は受付中

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