中国式銅剣の鋳型出土-中国式といってもメイド・イン・ジャパン
中国式銅剣というと、九州では朝倉市(旧甘木市)中寒水出土の桃氏剣(写真)など少ないながら数例が知られている。中国からはるばる海を渡ってきた銅剣かと思いきや、春日市立石遺跡出土の中国式銅剣(戦国式)の鉛同位体比の分析結果などから、どうも日本製らしいと知った。今回の鋳型の発見はそれを裏付ける資料となりそうだ。
朝鮮半島で定型化した細形銅剣(韓国式銅剣)と呼ばれる型式の銅剣の他に、多樋式、深樋式など-いくつかの特殊な型式の銅剣が日本でも出土しており、少し風変わりなタイプの銅剣を製作していた工房が御陵遺跡周辺にあったのかもしれない。新聞記事の写真をみると、中央の銅剣は立石銅剣らしい。通常の中国式銅剣の大きさの二倍くらいあるだろうか…
写真1出典:『あおの輝き-弥生時代の青銅器-(平成17年度北筑後文化財フェスタ)』(小郡市埋蔵文化財センター/2006)
福岡の遺跡から中国式銅剣の鋳型出土
産経新聞(08/09/01)出土した「中国式」に形状が近い銅剣の石製鋳型(左)。中央は中国式銅剣の複製、右は弥生時代の細形銅剣の複製=1日午後、福岡県春日市の「奴国の丘歴史資料館」 福岡県春日市教育委員会は1日、同市須玖北の弥生時代後期(一世紀)の「御陵遺跡」から、中国や朝鮮半島に由来する「中国式」に形状が近い銅剣の鋳型が出土したと発表した。
市教委文化財課によると、中国式銅剣とみられる鋳型が出土したのは全国初。担当者は「中国式銅剣が、国内でも生産されていた可能性を示すものだ」と話している。
出土した鋳型は石製で長さ約30センチ、幅約10センチ、厚さ約6センチの直方体。先端部分は欠損している。竪穴住居跡から青銅かすとともに出土したことから、青銅器の工房跡と考えられるという。
弥生時代の銅剣は「脊(むね)」と呼ばれる芯がある細形がほとんどで、断面が偏平(へんぺい)な中国式の出土例は少ない。細形銅剣の鋳型は弥生時代の青銅器の生産地とされる同市の須玖岡本遺跡群などで多数出土している。
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